Juliet Winters Carpenterさん、国際文化会館

Carpenterさんのお人柄もあってか、大変温かい雰囲気に包まれた和やかな講義でした。
日本の文学作品を英訳する際の難しさが紹介されました。例文や解説が記載されたプリントが事前に配布され、それに沿って講義は進みました。

たとえば、日本語では代名詞は多用されないとか、自らの思い込みで正確ではない訳になることもあるので第三者に読んでもらうべきとか。
時として編集者から驚くべき提案を受けたことがあるという紹介もありました。ストーリー上重要ではない、似たような名前の同じ職業の人が2人いたから1人にしちゃいましょうとか、フランス語のキーフレーズが5回出てきてるけどこんなに繰り返さなくっていいから減らしましょうとか。いつでもなんでも減らしていい訳ではないともご留意くださいました。
辞書の使い方についても言及があって、「平行六面体」という言葉に対してparallelepipedsという訳を見つけたから使ったけど、最終的にはsquare blocksにしたとか。この説明だけでも、文章としてこの方が自然に読めるのが想像できます。
名前については質問も多く、登枝さんをToeさんにすると「足の指」になっちゃうから、アクサンを付けた「Toé」さんにしたとか。
小説の空気を損ないかねない「訳注」はできる限り付けたくないという配慮が何度も伺えました。
そのほかにもうんうんと頷ける、英訳することの難しい例をたくさん紹介してくださいました。

最後にCarpenter先生の師にあたるSeidensticker先生による、翻訳は不可欠だけど不可能という意の言葉が引用されました。

難しいことは多いかもしれませんが、翻訳するということの努力が伺えました。また翻訳という作業は決して孤独ではなく、編集者や著者との協力体制も伺えました。大変楽しい講義で、とても勉強になりました。