サブタイトルを含めると「よみがえるヴァンパイア――人はなぜ吸血鬼に惹かれつづけるのか――」というタイトルの付いたこの本は面白かったです。最近出た本(原作の出版は2013年)ということもあって、あんまり期待していなかったのですが、ポリドリや「死霊の恋」、「ヴァーニー・ザ・ヴァンパイア」やについてなどもきっちり触れられていて、しっかりした内容になっていました。
ヴァンパイアよりも下層にあるゾンビとか、音楽とヴァンパイアとかについての考察も興味深く、かと思うと「ボードレールの詩の断片まで紹介されてました。「バフィー・ザ・バンパイア スレイヤー 」だの「トワイライト」だのは観るまでもないと思っていたけれど、一見の価値がありそうです。
ストーカーの「ドラキュラ」と並列にレ・ファニュの「カーミラ」を置かれるのには違和感を覚えましたが、遠くはないのかもしれません。
ジェンダーとセクシュアリティについても述べられていて、「自然の手段で生殖できず、子孫を残すことができない」というような表現も興味深いです。

この本は「訳者あとがき」も興味深かったです。松田和也さんという翻訳者さんは「悪魔学大全」(ロッセル・ホープ・ロビンズ著)、「吸血鬼の事典」(マシュー・バンソン著)、「神々の果実」(クラーク・ハインリッヒ著)など、オカルト系の翻訳が多いとも紹介されています。(ご本人によるインタビュー回答では少し違った表現が使われています。)
アン・ライスの<ヴァンパイア・クロニクルズ>シリーズは「インタビュー ウィズ ヴァンパイア」の成功による翻訳権料の高騰により全訳されていないのが真実だとしたら、残念なことこの上ないです。
また、日本の吸血鬼としての茶吉尼天は馴染みがなく、調べてみたいと思います。

テオフィル・ゴーチエが著した「死霊の恋」の芥川訳には「クラリモンド」というタイトルが付され、青空文庫で公開されていました。

この本を読みながら、「the undead」の訳は「不死者」でよいと確信も持てました。

 

http://www.amazon.co.jp/dp/4791769309